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千文字屋

約1,000字で読書感想文(ほぼ毎週更新)

惚れる変態のこと・星野源『蘇える変態』

 

蘇える変態

蘇える変態

 

 
星野源とか別に好きじゃないし」ってセリフは、ここ数年間でたくさん聞いた。というか、自分自身がそうだった。「別に好きじゃないし」と思っていた。よく知りもしないのに、サブカル系(あるいは文系)女子に人気があるヒトなんでしょ、あーはいはい、なんか流行ってるよね……と、分かったつもりになった上で忌避していた。流行を否定する自分カッコいい的な、痛いアレである。
 なのに星野源「沼」的なモノにハマってしまったのは、2016年に話題のドラマとなった『逃げるは恥だが役に立つ』と『真田丸』が、まずキッカケとして挙げられる。前者では主演、後者ではとても重要な脇役として星野源が出演していた。両役ともに、素直にとても良かった。良い役者さんに悪い人はいない(個人の感想です)。そこから『逃げ恥』の主題歌である『恋』を買って聴き、さらにアルバムの『YELLOW DANCER』を聴き、星野源オールナイトニッポンを聴いた。普通に良かった。素晴らしかった。ちゃんと知りもしないのに、適当に避けていた自分を心から恥じた。本当にすみませんでした。そうした流れの果てに、書店で『蘇える変態』を買うに至ったのである。
 80年代生まれである自分は、ずっと同世代の表現者に餓えている。同世代の表現者のコンテンツを楽しみたい、応援したいのだ(もちろん嫉妬も混じるが)。最近は少しずつそうした方が増えてきていて、嬉しい限りなのだけれど、星野源は自分が求めるそうした表現者の代表選手といえることに、本書を読んで気づかされた。アニメが好き、マンガが好き、サブカルチャーはリスペクトするけれど、そこだけにとどまらずポップカルチャー全般を称揚する。音楽家であり、文筆家である。……知れば知るほど、好きにならない理由はなかった。カッコいいし、尊敬する、できる。肩に力が入っていないのに、こだわりが無いわけではなく、流儀がちゃんとあることも、やっぱりすごくカッコいい、惚れる。
 結局、星野源大絶賛の内容になってしまいました……自分は今や、ただのファンに成り果ててしまったのでご勘弁を。ちなみにこの本の後半は、ガチで壮絶な命に関わる闘病記なのだが、何故だろう、そのヘビーな部分も含めて読み終えたときに、まったく押しつけがましくなく、ふっと背中をタッチされるような感覚で「さあ、頑張りますか」という気分にさせられる。新年一発目にこの本を読めて、良かった。